治験中に患者が死亡し裁判になった例

治験中に患者が死亡した例というのは日本でも少なからず存在しています。
患者に対してというところがポイントで、治療に進展が見込まれないような難病の場合に
臨床試験中の薬を試験的に使うことでその結果を確認しようとするような治験では、
リスクが十分に担保されていない状態なので死亡してしまうケースがあります。

そんな患者への治験中に死亡してしまい、裁判になった例について見てみたいと思います。

患者:40代女性
治験内容:未承認の補助人工心臓(エヴァハート)
死亡原因:合併症(脳出血)
治験に当たっての制約:体表面積1.4㎡
手術直前の体表面積:1.38㎡

これは明確なプロトコル違反となり、この点が裁判で争点となりました。
未承認である以上、適用することによる安全性は担保されていないのであるから、
決められた規定である体表面積1.4㎡は遵守しなければいけない最低ラインの内容となり、
これを1.4㎡に僅かに足りない1.38㎡だから問題なしとした行為は許されるものではない。
というのが裁判の最終的な判決となり、治験の内容として不適切であり違法と認定されました。

この患者さんは重度の心臓病であったことから、内科的な治療は限界であり
エヴァハートの治験の話があった際には悩んだ末に参加を決意したわけです。
そんな患者さんにとって藁をもすがる思いの治験なわけですが、安全性が確保されていない
状況において規定を軽んじる行為は決して許されません。
人の命を軽んじているわけではないでしょうが、人体実験に近いこのような治験において
医師として取るべき行為ではなかったのは言うまでもありません。

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